都知事就任以来、国民の興味を惹き続けた「小池百合子劇場」。2017年はどんな展開を見せるのか。 五輪3施設の移転案が頓挫したことで劣勢に立たされている小池氏だが、「宿敵」都議会自民党に新たなパンチも繰り出した。毎年慣例で続いてきた約200億円の「政党復活予算」廃止を打ち出したのだ。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は、17年はこの件を軸に小池氏の「反転攻勢」が始まると予測する。
「五輪施設で敗北した小池氏が、予想より早く強いカードを切ってきた印象。地方自治体の予算にも匹敵する額の政党復活予算は都議の力の源泉で、石原慎太郎都知事ですら黙認した聖域。もう都議会自民党との全面対決は避けられない。来年度予算を決める2月の都議会は紛糾するでしょう」
小池氏は17年夏の都議選で、自身の集めた「希望の塾」の塾生などから独自候補を立てる方針。それでも都議会で127議席中83議席という絶対多数を占める自公の牙城を崩すのは難しいと見られていたが、ここにきて異変が起きた。23議席を持つ公明党が12月14日、自民党との「連立解消」を宣言したのだ。
「都議選は中選挙区制なので、自民と公明はもともと敵同士。今回の公明の動きも、世論の支持がある小池氏と選挙で対決するのを避けるためのものでしょう。民進党も同様に小池氏に接近する。公明、民進に加え小池派の独自候補20人ほどを当選させられれば、自民党を多数派から引きずり下ろすことも可能になります」(前出の鈴木氏)
議会で予算案が否決されるなど状況が悪化した場合、小池氏が知事を辞め、都議選と知事選の「ダブル選」を行うという“ウルトラC”もあるという。こうなれば、小池氏が圧勝した前回の知事選の再現もあり得る。逆に小池氏側は「ダブル選」カードをチラつかせながら、予算案の通過を狙っていくとみられる。
決戦は17年夏の都議選。だが、そこでの勝利はあくまで「小池劇場」の「序章」にすぎないという。
「豊洲市場や五輪施設は過去の負の遺産で、今後は環境、情報公開、女性政策など小池氏発の政策が求められる。小池氏は都市外交にも意欲があり、トランプ米大統領と会談する場面もあるかもしれない。こうした路線は必然的に国の政策と摩擦を生むので、小池氏は国政への関与も強めていくことになります」(同)
国政への“リベンジ”も脳裏にあるとされる小池氏。改革路線で安倍晋三首相を食う存在感を示せば、宿願がかなうかもしれない。
※週刊朝日 2017年1月6-13日号