同性カップルとして東京都渋谷区の「パートナーシップ証明書」の第1号にもなり、メディアに積極的に登場している増原裕子さんと東小雪さん。明るく笑い合うと二人だが、これまでの人生にはつらいこともたくさんあったという。
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増:出会いは2011年の春に開催されたLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)のシンポジウムです。彼女は登壇者で、私はスタッフをしていました。第一印象は……「背が高いな」くらい。
東:ひどい(笑)。私は彼女と出会った瞬間を写真に撮ったみたいに鮮明に覚えています。楽屋裏で、彼女の周りが輝いて見えた。「この美しい人は誰!?」って。
増:ははは。
東:それからもう、ひろこさんのことが気になって気になって。彼女のツイッターを見て、彼女が読んだという小説を読んでみたり、音楽を聴いてみたり。で、私が告白して付き合い始めたんだよね。
増:まあ、押されて押されて「もうよけきれない!」みたいな感じ?(笑)
東:彼女はクールだから「好き!」って言っても、「あ、そう? ツン」みたいな。一緒に暮らし始めてからもしばらくはそうでした。
増:彼女は感情がダダダと表に出るタイプ。私は出ないタイプなんです。
――性的マイノリティーの総称であるLGBT。最新の調査ではLGBTは人口の7.6%、約13人に1人の割合で存在するとされる(電通ダイバーシティ・ラボ「LGBT調査2015」調べ)。増原さんが「自分は女の子が好きだ」と気づいたのは10歳のときだ。
増:子ども時代はずっと悩んでいました。私の時代はまだLGBTについての正しい情報やポジティブな情報に一切触れることができなかったんです。「同性愛」にまつわるものは、アダルトでどこか後ろ暗い感じのものばかりで。
東:男の子と付き合ったこともあるんだよね。
増:そう。基本的には女性が好きだけど、男性に惹かれる部分もあるんです。だから男の子に告白されて付き合ってみるんだけど、「う~ん?」って。一番つらかったのは大学時代ですね。誰にも言えなくて恋愛話でも嘘をつかなきゃいけない。友達にずっと申し訳なくて。