一方、秋篠宮家や他の皇族方の場合は、後方に警察車両が1台つくだけだ。交通規制はなく、渋滞に巻き込まれることもある。
秋篠宮家の事情に詳しい人物がこう話す。
「助手席には護衛官が座りナビ役を務めますが、先導する白バイや警察車両がいません。万が一、渋滞に巻き込まれ式典に遅れようものなら、運転手と護衛官の責任になりますから、焦って車を飛ばすこともしばしばあると聞いています」
渋滞にはまってしまったときの重圧は深刻で、「生きた心地がしない」とこぼすこともあるいう。
今回事故を起こしたのは、この春に異動してきた30代の男性運転手だった。
「事務方の事情で当日急きょ交代となり、渋滞情報や道路の下調べなど十分な準備ができなかったと聞きました」(前出の人物)
こうしたご身位の差は、さまざまに存在する。
たとえば那須(栃木県)や葉山(神奈川県)、須崎(静岡県)にある天皇の静養施設の御用邸。いずれも本邸に宿泊できるのは両陛下のみだ。皇太子ご一家も滞在は隣接する付属邸と定められ、宮家が単独で使うことは許されない。2008年に秋篠宮ご一家が特別に単独で使用が許された際も、泊まったのは、供奉員(ぐぶいん)宿舎と呼ばれる当時すでに築82年の職員用の木造の宿泊施設だった。
教育費も然(しか)り。
「内廷皇族の子供は小学校に入学すると、学費は公的費用の宮廷費から支出されるが、宮家皇族の男子の場合、ポケットマネーである皇族費で賄われます」(宮内庁関係者)
悠仁さまは、陛下の孫世代で唯一、皇位継承権を持つ男性皇族。宮内庁幹部らが相談し、お茶の水女子大付属小学校への入学のタイミングで、学費を宮廷費で賄ったらどうかと、秋篠宮さまに提案したところ、秋篠宮ご夫妻は、前例どおり皇族費で、と断ったという。
宮内庁は、この事故を受けても、警備態勢の見直しは行わないと言明した。だが、「将来の天皇」となるであろう悠仁さまを支える環境は、あまりに心もとないのは確かだ。
※週刊朝日 2016年12月9日号