漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏は、「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」(日本テレビ系 水曜22:00~)を取り上げ、「むしろ悦子が本を出せ」という。
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校閲とは、「ゲラ」と呼ばれる途中段階の原稿を預かり、間違いや矛盾、疑問点を指摘するお仕事。ファッション誌編集を目指して出版社に入社したものの、配属されたのは校閲部だった河野悦子(石原さとみ)→河悦→校閲ガール。
疑問点を確認せずにはいられない行動力と、取っかえ引っかえのファッションが、派手すぎてヤバイ。節約術で人気のブロガー本を担当すれば、その節約術を実践確認。自らのおすすめ節約豆知識も、付箋でペタリ。作家の家にも押しかけて、娘のぬいぐるみまで修繕するって、むしろお前が本を出せ。
イタリア在住、カリスマスタイリストのエッセイを担当すれば、浅草に出向いてイタリア人旅行客に事実確認。女優の自叙伝を担当すれば、彼女の住居周辺を実地検分。女優の隠し子スクープを狙っているセンテンススプリング……いや、ゲスいパパラッチ記者には、彼女のつらい生い立ちや女優への夢を熱く語って、出版前なのに自叙伝の内容を地味にネタバレだ。さらに、記者会見に乗り込む校閲ガール。女優が失神したら、すかさず駆けより「救急車を呼んでー!」。アクティブすぎて、担当編集(青木崇高)の方が地味。もはやゲラを校閲部へ持っていくだけの伝書鳩状態?
「意味も知らないで、呼ぶんじゃねえよ。この若いだけの女が!」。何がなんでも一言物申したいこのキャラクター、地味に江頭2:50。がっぺムカつく?
そして、ガール自身のあだ名は「おしゃカワ」。てっきり有吉が品川祐に命名した「おしゃクソ(おしゃべりクソ野郎)」的「おしゃべりカワウソ女?(意味不明)」と思ったのに、「地味な校閲部で、オシャレなんてして無駄なのにカワイソウ」って、わかりにくいわ、そんなあだ名。
出版社にはなくてはならぬ校閲。今まさにこの原稿をチェックした校閲さんも、鉄のパンツをはき、石原さとみばりのおしゃれファーをまとって、私に一言物申すため、ウチに向かってるところですよね?
※週刊朝日 2016年11月25日号