「アメリカ・ファースト」というトランプ氏に対し小池氏は「都民ファースト」と、共にシンプルなスローガンを掲げた。“仮想敵”を攻撃して聴衆を熱狂させる手法や、メディアを利用したパフォーマンスに長(た)けているという点も、両者は共通している。
ジャーナリストの田原総一朗氏はこう予言する。
「既存の政党が受け入れられないのは、それだけ有権者の余裕がなくなり、追い詰められているということ。これは世界的な流れで、フランスやドイツ、オランダなどでは移民の排斥などを掲げる政党が既存の政党に取って代わる可能性がある。日本でも既成政党への不満がより高まれば、小池氏が国政に戻り、首相になる目もあると思います。小池氏が自民党を離党しないことからも、私は本人もその気があると見ています」
小池氏が日本のトランプになる──そんな日が来るかもしれないというのだ。そんな馬鹿な、と思うかもしれないが、つい最近までそうして笑われていたトランプ氏が本当に大統領になる時代だ。これまでの常識はもう通じない。自民党の伊吹文明・元衆院議長は二階派の会合で、トランプ氏の勝利にこんな警告を口にしている。
「エリートが信頼されていなかったのが今回の結果。(中略)日本も我々(国会議員)がエリートかどうかというと笑われるが、現実が変わってきているということをわきまえないと、米国の二の舞いになってくるという心配がある」(本誌・小泉耕平、上田耕司)
※週刊朝日 2016年11月25日号より抜粋