「俺らの年齢で、性欲がないほうが驚きだ!」という思いを胸に抱く中高年男性は少なくない (※写真はイメージ)
「俺らの年齢で、性欲がないほうが驚きだ!」という思いを胸に抱く中高年男性は少なくない (※写真はイメージ)
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 熟年夫婦の間で増えているという“セックスレス”。互いが性に無関心になっているなら問題ないが、男女でギャップがあるよう。そこで、中高年の性事情を調査した。

 まずは、男性読者のお手紙の紹介から始めたい。

〈私77歳、人並(以上)に性に関心がありながら、欲求不満の生活を送ってきたため、いまだに自慰が止められません〉

 記者が本誌5月6・13日号で書いた記事「介護現場の新たな問題 高齢者の“自慰”」への感想だ。

 男性の妻は45歳で子宮と卵巣を摘出。その後、男性が体を求めると、「そんなことしか考えないの?」と妻に言われ、拒絶され始めた。もう妻には求めないと決め、〈自慰で我慢して生きてきました〉という。

 夫婦間の性のギャップと行き場のない欲求を切々と綴った手書きの便箋4枚。ここから、今回の企画は始まった。熟年世代の性生活はどんな現状なのか──。

「今年に入って、何度か朝にパンツを洗っているよ」

 会社役員の男性(54)は、バツが悪そうに話す。かつてラブラブだった一つ下の妻だが、今は別寝でセックスレス。男性は居間で愛犬と寝る日々で、夢精もする。

 20代後半で結婚。2人の子を育てながらも、休日は夫婦でランチの後、「ホテルでエッチ」がお約束だった。しかし、最近は少しずつ変わってきた。

 昨年、娘と息子が独立した。ほどなく、妻の親が倒れて入院。男性は「見舞いで余裕がなく仕方ないけれど、僕の体は“したいよー”と反応する」。最近は求めても拒まれてしまう。

「ホテルに行く暇がないなら家で、と思うけど、セックスで寝室のベッドが汚れるのは嫌らしい。生活環境が変わり、行為が嫌になったのか、僕が嫌いになったのか。夢精したパンツを洗うのを横目で見られるのは情けない」と男性は話す。

 性の壁が生まれる夫婦の一方で、こんな例もある。

 千葉県の55歳の女性。2年前に閉経したが、セックスライフは今も続く。

「ダンナと晩酌したときは、ほろ酔いでベッドになだれこむのが定番です。私が先に気持ち良くなり、爆睡。起きたときは満たされ感があり、サイコーよ(笑)」

 2人の娘は今年、就職と進学で巣立った。女性は平日にパート勤務、休日に認知症の母の介護と忙しいが、今も月2~3回はエッチする。「ダンナと自分の“したい気持ち”がほぼ一緒なのがいい」

 シングルの中高年の性生活は、もっと自由だ。

 約10年前、「優しくないから離婚して」と持ちかけられた会社員男性(53)。3年前に、30歳の新パートナーを見つけた。

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