妻:「早川ですけど、荷物を取りに来たんですけど」とスタッフの人に言ったら、顔色が変わるんですよ。彼女が楽屋にいて、入ったらダメとも言えない。
夫:しいこが「こんにちは」って。女の子も「コンニチハ」って。みんないい子だからね(笑)。
妻:嫉妬に狂うとかはないですよ。ぜんぜん。家が花柳界に近かったのもあるかもしれないですね。
夫:話は前後するけど、別居したのは本屋をやめて、「ずっと一緒にいると、うっとうしい」と言うから。僕じゃなくて、しいこが。
妻:朝昼晩と、ご飯を作っているとね。
夫:「ご飯、まだー」「もうどっか行ってよ」って。で、東京に部屋をもったの。
妻:見た目はカッコよくないのに、不釣り合いなほどすてきな彼女とめぐり合えて。いまはいないものだから、わたしにまで「紹介してよ」って言うのよね(笑)。
――いまは週3日、妻は神奈川・鎌倉の自宅から夫の部屋に通う。都内で社交ダンスを習うついでもあると言うが。
夫:一緒にやらないかと言われるけど、体を合わせるのってエッチじゃない。ちがう? というか、もともと趣味が合わないんだよね。俺が「温泉に行こうよ」と言ったら、「女の子を誘っていってらっしゃい」って。一度も喧嘩したことない。それで最近気づいた。このひとは唯一の女友達だと。女の子は「恋人」だからね。
妻:わたしは、よしおさんのほかに男の人を好きになるというのがない。一回も。
夫:変わっているでしょう。新幹線にも1回しか乗ったことのないひとだから。
妻:岡林信康さんの家に遊びに行ったとき。着いたら、39度の熱を出しちゃって。
夫:だから、ふたりで旅行なんかしたことないし。食べ物も好きになったら、ずーっと同じものだし。面白みのない女だね(笑)。
――最後に聞いてみた。結婚し直せるとしたら、お互いにどうしますか?
妻:誰かを選ばないといけないのなら、(彼を)選ぶと思うんです。でも、選ばなくていいのなら結婚しない。
夫:へぇー(笑)。僕は、不満はないからなぁ、良い人と結婚できて、「ありがとう」と思っていますよ。
※週刊朝日 2016年10月28日号より抜粋