「とと姉ちゃん」から「べっぴんさん」へ、高視聴率のバトンも渡せるか (c)朝日新聞社
「とと姉ちゃん」から「べっぴんさん」へ、高視聴率のバトンも渡せるか (c)朝日新聞社
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 10月3日に放送スタートしたNHK連続テレビ小説「べっぴんさん」。初回は視聴率21.6%を記録し、前作「とと姉ちゃん」の好調を引き継ぐ好発進となった。このまま上昇気流に乗ることができるのか。朝ドラの専門家2人に今後の行方を占ってもらった。

「前2作のいいとこ取りをしたような印象で、半年付き合うに値する期待感があります」

 と話すのは、朝ドラに詳しい上智大学文学部の碓井広義教授だ。碓井教授は、朝ドラヒットの方程式として、〈女性の一代記〉〈職業ドラマ〉〈自立していく成長物語〉という三つの要素をあげる。べっぴんさんのヒロインすみれのモデルは、子供服メーカー「ファミリア」の創業者・坂野惇子(ばんの・あつこ)。三つの要素を併せ持つ人生を送った人物だ。

「さらに『カーネーション』から『とと姉ちゃん』まで続く〈実在の人物を描く〉という第4の要素も加わった。べっぴんさんの設定は、その積み重ねがうまく生かされていますね」

 また、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)の著者・田幸和歌子さんはこう言う。

「神戸の“いいとこの子”が主人公で共感しにくいという声もある一方、全体にあたたかな楽しい雰囲気が漂っています」

 朝ドラ序盤の視聴率は、前作の人気に影響されると言われる。最初の1週間の視聴率は、いわばご祝儀。今後、好調は維持できるだろうか。田幸さんは言う。

「乗り越えるべき大きな出来事が序盤にあれば、それがヒロインの魅力を高める原動力になり、その後のドラマ性も高まります。今回も菅野美穂演じるお母さんの死がきっかけとなり、盛り上がっていくのでは」

 碓井・田幸両氏とも、2週目から本格的に登場するヒロイン役の芳根京子に大きな期待を寄せる。

「初主演のドラマ『表参道高校合唱部!』で演じた役が、“ウザキャラ”手前ながら魅力的だった。近年、こんな朝ドラヒロインらしい女優はいなかったと思います」(田幸さん)

「線の細い若手女優が多いなか、地に足がついた、広がりを持つ演技ができる。どこか懐かしい雰囲気もあり、本格的な登場が楽しみです」(碓井教授)

 6日には、「マッサン」のヒロインだったシャーロット・ケイト・フォックスが、重要な役割で登場することが発表され、新たな話題も投入された。すみれの将来は明るそうだ。

週刊朝日 2016年10月21日号