体操男子団体決勝が行われた9日、会場の客席にはトレードマークのおさげ髪に日の丸の鉢巻きを巻いた周子さんの姿があった。他の選手の家族とともに応援、息子の演技をじっと見つめる。手にした横断幕には「航平ガンバ!!」のメッセージとともに内村の父の和久さん、妹の春日(はるひ)さん、愛犬の写真がプリントされていた。
しかし、そこには千穂さんらの写真はない……。
周子さんは金メダルを獲得した団体の競技後、本誌にこう語った。
「涙が出て、現実ではないような気がしました。息子は本当に疲れていたようで、かわいそうになりました。最初のあん馬でうまくいってこちらを振り向いてくれた時、あまりそういう光景はないので6種目大丈夫かなと。最後は200%くらいの力でやってくれたのかなという演技。本当に頑張ってくれた」
一方、千穂さんは子どもがまだ小さいことなどから東京に残って応援。リオに旅立つ内村に金メダルをかけた熊のぬいぐるみを手渡したという。
母と妻の両者から深い愛を注がれ、「幸せ」を噛みしめる内村。その実力なら、家庭もうまく“着地”させられそうだ。(本誌・小泉耕平、鳴澤 大/栗原正夫、渡辺勘郎)
※週刊朝日 2016年8月26日号