東大でなく、海外のトップ大学を選ぶ子が増えている。どう教育すれば、そんな子に育つのか。例年、東大合格者数が1位の開成高校の校長、柳沢幸雄さん、『スタンフォード大に三人の息子を合格させた50の教育法』(朝日新聞出版)が好評のアグネス・チャンさんに語ってもらった。
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柳沢(以下=柳):子どもを伸ばすためには褒め方はすごく大事。子どもって、生まれたときはみんなかわいいし、何をやっても褒められる。それは生まれたばかりのときと成長したときを比較するから。ところが、親はだんだん褒めなくなる。どうしてかというと、比較する対象が本人でなく、周りの子になってくるから。なんであの子ができるのに、ウチの子はできないの?って腹が立ってくる(笑)。
アグネス(以下=ア):うちでは3人の兄弟を比べることは絶対にしませんでした。それは“自己肯定感”を持たせるためです。「ママは君のことはまるごと大好き」と子どもをありのままで受け止める。親が注意深く観察して見ていけば、子どもにはいいところはたくさんあります。それを伸ばしていくことが才能の開花につながります。
柳:他人ではなく、子どもの過去と比較すれば、必ず成長しているところはある。
ア:やっていることがいただけないことであっても、その子を否定はしない。褒め方も叱り方も気をつけないと子どもの可能性を潰してしまいます。
柳:日本とアメリカを比べると、日本はあまり褒めない社会だね。簡単に言うと、日本は減点主義でアメリカは加点主義。例えば、日本は会社に入ったときは100点。会議でちょっとうるさいこと言ったな、マイナス1点。あのプロジェクトで失敗したからマイナス3点……というように引かれていく。アメリカの場合は、お、いい提案をしたね、プラス3点。新しい製品を作って儲かったからプラス50点……というように青天井で加点される。
ア:私は子どもに何かを教えるとき、まずは興味を持たせて意見を聞きます。そして子どもが答えてくれたことを褒めるようにしました。そうしてから「でも、こうするともっといいね」と言う。すぐに訂正すると、子どもが意見を言わなくなっちゃうから。
──世界に通用するエリートにするためには?