隅々まで掃除する「タスカジ」スタッフ。ドラマやカリスマ家政婦の登場により、家事代行スタッフ志望者も増えているという(撮影/写真映像部・高橋奈緒)
隅々まで掃除する「タスカジ」スタッフ。ドラマやカリスマ家政婦の登場により、家事代行スタッフ志望者も増えているという(撮影/写真映像部・高橋奈緒)
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 家事代行サービスが広がっている。背景には利用者のライフスタイルや「こうあるべき」とされてきた価値観の変化がある。AERA2023年2月20日号の記事を紹介する。

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 家事代行のマッチングサイト「タスカジ」は、1児の母でもある和田幸子代表が、「出産しても仕事を続ける環境は整いつつあったけれど、キャリアアップは諦めなければならなかった。その最大の理由が、家事負担である状況を変えたい」

 と2014年に立ち上げた。家事サポートを利用したい人とハウスキーパーとを直接契約にすることで、従来の相場の約半額となる1時間1500円(最低価格)という低価格を実現。現在、利用者は約10万人で、年々増加中という。サービス開始から8年半。最近の利用者の特徴について和田代表は、こう話す。

「キャリアのためという理由とともに『子どもとの時間を増やしたいから、家事をしてほしい』というニーズが顕在化している。同じお金を使うならば、シッターよりも家事代行を選ぶ人が増えている印象です」

■息子と向き合う時間

 都内の会社員女性(46)もそのひとりだ。同業者の夫と小学6年生の息子と暮らす自宅には、毎週火曜日は掃除のために、水曜日は1週間分の食事を作りにそれぞれ別のスタッフがやってくる。出産後、夫と家事をめぐるケンカが増加し、利用を決めたという。女性は、

「普段は掃除はもちろん、料理もほぼしません。たまに休日のお昼に焼きそばなど簡単なものを作るくらい。私が作ると息子は『美味しい!』と大絶賛。たぶん毎日作ってほしいのだろうとは思いますが、割り切ったおかげで、仕事もでき、夫との衝突もない。何より、息子と向き合う時間を捻出できた」

 と話す。30年以上共働き夫婦の家事分担について研究を続ける日本女子大学の永井暁子准教授(家族社会学)は、

「時代の変化によって『母たるもの、妻たるものこうあるべき』という価値観が消滅しつつある。以前は、子どもへの愛情は『手作り料理』などに時間をかけることによって示されるとされていましたが、今は必ずしもそこに重きは置かれていません」

 と指摘。確かに、共働き世帯の増加により、子どものお弁当箱にコンビニの総菜を詰めてもいい、デリバリーしてもいいし、ミールキットも使えばいいという雰囲気は広がっている。自宅が清潔であれば、誰が掃除したかまでは重視しない風潮もある。その結果、家事代行を利用するハードルも下がりつつあるのだという。

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古田真梨子

古田真梨子

AERA記者。朝日新聞社入社後、福島→横浜→東京社会部→週刊朝日編集部を経て現職。 途中、休職して南インド・ベンガル―ルに渡り、家族とともに3年半を過ごしました。 京都出身。中高保健体育教員免許。2児の子育て中。

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