(c)カトリーヌあやこ
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 漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏は、「わたしを離さないで」(TBS系 金曜22:00~)は綾瀬はるかのおっぱいが強調されたドラマだとこう分析する。

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 外部から閉ざされた寄宿学校で暮らす少年、少女たち。彼らは恋や友情に思い悩み、青春の日々を過ごしている。カズオ・イシグロ原作で、映画や舞台(蜷川幸雄演出)にもなった本作。

 やがて読者であり、観客である私たちは知る。彼らが「普通」の子供ではなく、ある目的のために作り出された「提供者」であることを(原作で提供者は臓器提供者、介護者はその世話人)。

 若さあふれる彼らの輝きと、残酷な運命との落差に、打ちのめされる瞬間。という衝撃展開なんだけど、このドラマは第1話で、その肝心な部分を、女校長(麻生祐未)が、いきなり演説。

「あなたたちは、普通の人間ではありません。言ってみれば、天使なのです」

 もうネタバレか! 子役たちもびっくりしていたが、見てるこっちもびっくりだ。救いの無い未来に、ドラマの雰囲気も終始どんより。

 ヒロインが子役から綾瀬はるかにバトンタッチしてもキラキラ青春要素は皆無だ。学校を卒業し、「提供者」たちは、コテージ(とは名ばかりの、昭和な家屋)で共同生活を送る。ある者は「提供者」の人権活動に身を投じ、ある者は、互いに刹那的な性欲を満たす。

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