大学同士の熾烈な受験生獲得競争とは?(※イメージ)
大学同士の熾烈な受験生獲得競争とは?(※イメージ)

 大学入試シーズンも佳境を迎え、「合格」の吉報が届き始めた。かつて私大入試といえば、受験のチャンスは一学部一度きり。しかし現在は入試方式の多様化で、何度も同じ学部に挑戦できるようになった。近年、「全学部統一入試」(以下、全学入試)を採用する大学が増えている。その背景には、大学同士の熾烈な受験生獲得競争がある。

 現在、近畿大と志願者数トップ争いを繰り広げる明治大。2010年度、それまで不動だった早稲田大の数を抜いて初めて全国1位に躍り出たのは、全学入試導入がきっかけだといわれる。駿台予備学校進学情報センター長の石原賢一さんはこう解説する。

「全学入試ではたとえば一人が3学部を併願すれば、3人が受験したとカウントされ、大学ののべ志願者数が増えます。志願者数1位になればマスコミや受験業界では話題になり、受験生獲得にも一定の効果があるでしょう」

 石原さんによると「全学部」という名称の入試は、06年に立教大が用いたのが最初だが、このしくみを1990年代から導入していたのが関西大だ。関西地区は、首都圏以上に学生確保が厳しい傾向にあるという。

「バブル崩壊後、就職を意識した大学選びが主流になり、受験生は企業の本社機能が集中する東京に進学する傾向が強くなりました。それに地方出身者の地元進学志向が重なり、関西の大手私大は総じて受験生が集まりづらくなったのです。全学入試、インターネット出願、学部の新設など、受験生を集める新手法はいずれも西で始まっています。私大入試改革は、首都圏が関西地区の10年遅れとも言われます」(石原さん)

 そこで関関同立の全学入試に目を向けてみると、首都圏とは異なる傾向が見えてくる。

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