もっとも顕著なのが立命館大だ。立命館大の一般入試は、メインの方式が全学入試だ。今年度は2月1日から4日までの4日間に計4回の全学入試が行われ(文系の場合)、受験生は出願すれば全ての日で受験が可能。大学の入試情報ホームページは、たとえば法学部法学科を受験する場合、全学入試、センター併用入試などをあわせて「最大で7件の出願が可能」と謳(うた)う。つまりチャンスが7回もあるのだ。

 今年度の志願者数でみると、MARCHではいずれも学部別入試が全学入試を大きく上回るが、同志社大、関西大、関西学院大ではその差が小さい。立命館大では全学入試のほうが3倍以上も多い。

「関西地区では学部別入試より全学入試のほうが主流になり始めています。少子化の波を受け、首都圏でも全学入試中心にシフトする大学が出てくると思います」(同)

 では、私大の最難関である早稲田大や慶応大でも導入の動きがあるのだろうか。

「学生の質的向上を目指す早慶は第1志望の学生を集めたい。そのためAOや推薦入試に力を入れる傾向があります。また、入試は学部ごとに決めるという伝統も強く、導入しようにも足並みをそろえるのは容易ではないでしょう」(大学通信ゼネラルマネージャーの安田賢治さん)

 大学の生き残りをかけて年々形を変える私大入試。希望の大学に進学するには、臨機応変に適応する賢さが求められている。

週刊朝日 2016年2月26日号より抜粋

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