「今人気ある、七三のスタイルでいきましょう」
ひとくちにリーゼントといっても、パーマを当てたりバリカンで刈り込んだり前髪を下ろしたり。いろんなバリエーションがある。
「一気に5種類のリーゼントを作るという企画に挑戦したこともありますよ」
ハサミがチャキチャキ音をたて、鮮やかな手つきでリーゼントが作られていく。
「ここが“リーゼント”たる部分なんですよ」
リーゼントというと、ボリュームあるトップ部分の印象があるが、「ダックテイル」と呼ばれる後頭部の流れるような曲線が一番の特徴だそうだ。
「ロンドンの『リージェントストリート』のカーブに似ているというのが語源みたいです」
仕上げはドライヤーを当てて前髪を立ち上げ、スプレーとグリースでビシッと固める。鈴木さんは言う。
「店を出るときに、肩で風を切るようになってるお客さんも多いですよ」
確かに風を切って歩きたくなっていた。
(太田サトル)
※週刊朝日 2016年2月26日号