「(父の)鈴木宗男の時代から主意書を多く出してきましたが、主意書を出すと閣議決定を経て答弁書が出てくるので重みがあり、政府にプレッシャーを与える意味もあります」
昨年の安保法制の論議でも質問主意書が重要な役割を果たした。04年に民主党議員が「限局して集団的自衛権の行使を認めるような解釈変更の余地はあるか」と尋ねた質問主意書に対し、小泉内閣が「政府としては行使は憲法上許されないと解してきた」との答弁書を出していたことが暴露されたのだ。
自民党議員は政府に直接、質問ができるので、質問主意書は野党が使うのが慣行だが、「与党議員でも意欲があれば出せるはず」と、ジャーナリストの磯山友幸氏はいう。
一方、アンケートでは、「国会質問、議員立法、質問主意書だけで評価はできない」という反論が相次いだが、磯山氏は説明する。
「自民党は政府と一体という考えが基本で、党の政務調査会や総務会で法案の事前審査をし、固めてから国会に出すという慣行があるからです」
国会に提出される法案は政府提案が圧倒的に多い。
自民党議員は党内や政府内の非公式の場で法案作成に関わっており、法案が国会に提出された後は採決で成立させればよいので、質問をする必要はないという理屈だ。前国会で8回の質問に立った自民党参院議員(国対委員長代理)の西田昌司氏は、「自民党の部会は『国会』そのもの」という。
だが、政府と与党が事前審査で法案を固めて国会に提出するという慣行そのものが「異常」と、駒沢大学の大山礼子教授(政治制度論)は指摘する。
「これをおかしいと思わない国会議員は現代日本のやり方を当たり前と信じきっている、井の中の蛙だ。この慣行は田中角栄内閣から続いていますが、そんなのは日本くらいで、議院内閣制のほかの国ではありえません。国民の監視の目が届かない非公開の場で法案ができているわけで、何のために税金を使って国会を開催しているのか」
そして安倍政権下では自民党内での事前審査すら機能していないという。
「安倍官邸は自分たちで法案を揉んで、党に下ろすのは国会へ提出する直前で、安保法案のときも事前審査が骨抜きになった。党はすっ飛ばされ、部会の回数の頻度が落ちている。一見、首相、官房長官が辣腕を振るっているように見えるが、陰で操っているのは外務省、経産省などの官僚らです。党の政策立案能力が劣化し、官僚に主導権を取られてしまっている」(自民党重鎮・山崎拓元幹事長)
(本誌取材班=長倉克枝、西岡千史、亀井洋志)
※週刊朝日 2016年1月29日号より抜粋