1月14日、衆院本会議で居眠りする議員たち (c)朝日新聞社
1月14日、衆院本会議で居眠りする議員たち (c)朝日新聞社
この記事の写真をすべて見る

 ようやく国会が始まったと思いきや、アチコチでうつらうつらと居眠りする国会議員が続出中だ。安保法制の強行採決に昨年、まんまと成功した安倍政権の面々は余裕の表情で、国会は弛緩した空気が漂う。それに活を入れるため、本誌は「国会議員三ツ星データブック」を発行するNPO法人「万年野党」の協力で全議員の“サボリ”度を調査した。

 衆院で291人の議員が活動した自民党の質問回数総数は約330回なのに対し、衆院で議員72人の民主党は約750回。

 自民党は答弁する立場の政府の要職についている議員が多いとはいえ、質問ゼロは130人、質問1回のみも63人もいた。自民党重鎮・山崎拓元幹事長がこう危惧する。

「国会質問は議員にとって重要な任務だが、与党が圧倒的多数になったため、割り当て時間が減り、若手議員が勉強する場がなくなっている。質問内容を考えるため、現場に出たり、過去の答弁を調べたりして鍛えられるものです。安保法制の論議のとき、若手が部会で『拉致被害者を救出するため、北朝鮮へ自衛隊を派遣できるのか』とトンチンカンな質問をするなど能力の劣化が著しい」

 自民党議員からも疑問の声があがる。元東京地検特捜部副部長で前国会で自民党衆院議員の中で質問回数がトップだった若狭勝氏はこう語る。

「一つひとつの法案が国会で十分議論されて作られていると思っていたが、実際は丁寧な議論もせず、するっと通ってしまうと実感しました。法律の専門家の自分でもその内容がわからないうちに成立している法案が多数ある」

 質問に立つのは時間の制約があるが、政府に対して質問を書面で出す「質問主意書」という手がある。法案に対する政府見解などを公文書に残すことができる。前国会で171回質問主意書を提出し、断トツだった民主党衆院議員の鈴木貴子氏はこう語る。

次のページ