その日以降、悪魔の姿の国技館“出禁”が解けたと解釈され、翌(06)年1月からNHKの大相撲中継のゲストにも呼ばれるようになったのだ。これは相撲ファンの間でも事件だった。
心が広いというだけでなく、ユーモアもあったな。一昨年、還暦の土俵入り後のパーティーで、吾輩が「土俵入りは大変でしたか?」と軽い感じで聞いたら、
「いやー、横綱土俵入りでは四股を力強く踏まなきゃいけないので、今日も思い切って四股を踏んだら腰ががくーっとなってしまって後がもう大変でしたね」
と苦笑いされた。そんな答え方に、思わずこちらも笑ってしまったんだ。
とにかく北の湖親方は相撲界をよくしようとされていた。その思いを引き継ぐように、吾輩も相撲界にこれからも愛のむちを打ち続けていきたいと思う。
※週刊朝日 2015年12月18日号