「独特な感性を持つ田辺は、ユニークな絵を描くことで知られる」というナレーションで紹介される、通称・田辺画伯だ。今年の紅白歌合戦のシンボルマーク(そんなサノケンみたいなもん、今まであったっけ?)を画伯がデザインしたのも謎だったけど、重機と画伯、関係ないにもほどがある。

 で、たいして興味もなさそうに淡々とウルトラ重機のそばにたたずむ画伯。大きさを比較するために置かれたタバコの箱的役割か。

 途中、敷設された線路のレールをニョロニョロ蛇みたいにうねらせて地面ごと(?)横移動させるという「なんだこりゃ!?」な重機が出て来て、ちょっとはしゃぐ画伯。これが「タモリ倶楽部」だったら、タモさん及び重機オタクが、ここぞとばかりに語ったであろう貴重な場面も、画伯の感想は「うわ~すごいすごい!」と、あくまでもフワッとしている。

 しかし、ひと通り重機体験をした画伯が、絵を描き始めた時、初めてその存在意義がわかった。クレヨンで「ブオーン」「ガガガガ」と描いてある画伯の絵。そうだったね、小学生の時、社会科見学したら、いつも感想の絵を描いたね。ウルトラ重機、それは究極の小学生男子の夢なんだね。

週刊朝日  2015年12月18日号