NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」で、いけずな小姑役で注目された俳優・キムラ緑子さん。夫は劇作家・演出家のマキノノゾミさん。ふたりは、1984年にマキノさんが旗揚げした劇団M.O.P.の公演をきっかけに仲が深まり、結婚したが……。
* * *
――2002年、夫はNHKの連続テレビ小説「まんてん」の脚本で注目される。劇団外での仕事もグンと増えた。そんな夫に03年、驚きの出来事が降りかかる。妻に突然離婚を切り出されたのだ。
夫:いきなり「離婚したらおもしろいと思わない?」って言われて……。
妻:40代って、みんなそういうときあるでしょ? 「本当にこの人なのかな?」「一生このままの生活が続くの?」とか。で、「ちょっと待て、待て」と。
夫:僕は離婚なんてしたくなかったんですよ。名義を書き換えたり、役所に行くのもめんどくさいし。
妻:引っ越しと一緒かい!
夫:でも彼女に「離婚してみないと何が起こるかわからないじゃん?」って言われて、「ま、そりゃそうだ」と。子どもがいたらまた違ったでしょうけど、二人だけのことですからね。それで離婚、ってことになりまして。
妻:でも本当にいろいろ考えるところがあったんですよ、私にも。
夫:まあそうだろうけどさ。
――妻もテレビや映画への出演が増え、役者として順調なときだったが──。
妻:うーん、だから余計に、だったのかもしれない。「いま、ご飯食べたりしてる場合じゃないんだよ!」みたいな。私は役にも仕事にもガーッとなっちゃうし。仕事と家庭の両立がうまくできなかった。本当はご飯も作ってあげたいし、掃除もしたいのに、それをやらずに「自分のことばかりやってごめん!」って。でも同時に「なんでごめんなんだよ?」と思っている自分がいて、気持ち悪かった。