夫:別にいいのに。やんなくて。

妻:そう、この人はご飯を作らなかろうが、部屋が散らかってようが関係ないの(笑)。でも、「これをしてあげなきゃ」っていう思いが奥底にあるから、なんか、うしろめたいのかも。家事をやるのは嫌いじゃないから、やれないときにストレスになってたり、してね。

夫:なるほどなあ。

妻:いまは仕事も家庭も一緒にやれるってわかった。離婚しなくても解決できることを、私は離婚してみないと発見できなかっただけの話かもしれないけど。

夫:でも離婚しても基本、何も変わんなかったよね。一緒に芝居もしてたし。

妻:だから5年後に私が「もう一回結婚する」って言ったとき、この人断ったんですよ! 「もういいだろう、結婚は」って(笑)。

夫:「もうめんどくさいよ、区役所行くの」って。

妻:でも諦めずに、私が押し切りました。

――そして10年に復縁。同年、夫は26年続けた劇団を解散した。

妻:劇団の解散は本当に「青春が終わった」って感じだったね。

夫:劇団で食おうとは考えずに、自分たちのやりたいものをやるって決めてやってきたからね。さすがにもう限界だと思った。でもいい解散の仕方だった。区切りをつけてよかったと思います。

妻:これからもがんばって書き続けてくださいよ。私ね、こないだ井上ひさしさんの芝居を見に行って「作家の仕事はすごい」と改めて思ったの。マキノさんの仕事は私たちが死んだ後にも誰かが上演するかもしれない。作家の仕事は生き続けるもので、お客さんや、次の世代に伝えることが役者の仕事なんだって。そう思うと嬉しかった。いいものを作れば残るんだよね。

夫:僕も基本、いい役者は尊敬しますので、彼女のことも尊敬してますよ。

妻:まあ、私もそこそこ努力はしているので(笑)。

週刊朝日 2015年10月23日号より抜粋

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