このリストについて同市教育委員会は「(リストは)予定リストであり、指定管理者が作成。書店での販売実績などを踏まえ抽出した段階のもの。精査の結果、購入はしません」と断言。市民から不信の声があることについて、市側はこう説明した。
「誤解を招くようなタイトルがリストの中にあったことは申し訳なく思っているが、購入はこれからであり、少しでも疑念を抱かせてしまうような図書は、一切購入しないよう指定管理者と調整していく。武雄市の件を把握した時点で、市教委から指定管理者に、海老名市で同様の事態が生じることがないよう求めているが、今後も引き続き適正な図書館運営がされるよう求めていきたい」
選書リストを見直し、新たに購入してオープンに間に合わせていく予定だというが、山口市議はこう言う。
「リストには不適正な本が多数あり、短時間で精査できるわけがない。オープンを延期し、CCCらとの協定に反する事実があれば、ただちに指定管理業務契約を解除しない限り、市民の理解は得られないと思う」
図書館の根幹である選書をめぐり疑惑の声が上がる海老名市だが、愛知県小牧市でも図書館建設が注目を集める。CCCとTRCの共同事業体と連携した図書館建設計画について、賛成か反対かが問われる小牧市初の住民投票が10月4日に実施されるのだ。
「大事な税金を50億も使って、一企業が思いどおりの図書館にすることに反対」「市長は最小の経費で最大の効果を考えてー!」
23日、小牧の図書館を考える会を中心に、現在の建設計画に反対する市民約50人が、シュプレヒコールを上げて市内を練り歩いた。
建設計画を推進する市側は住民説明会を4回実施。24日の説明会では、開始5分前に反対派の一人がフェアでないと声を上げると、「反対派は出ていけ!」と賛成派の住民と掴み合いになる一幕もあったのだ。
図書館建設計画を議会で追及してきた、小牧市の竹内里美市議が言う。
「現在の図書館は老朽化が進み、耐震性や学習スペースの不足など問題があるので、建て直しをすべきです。しかし、約50億円もの公金を使って、市民に一切説明がないまま図書館の名を借りたTSUTAYAを造ることは間違っている。今の計画を白紙にする署名が、1カ月で約6千人分集められましたが、関心がない市民が多いのも事実。小牧市初の住民投票に興味を持っていただけるよう呼びかけていきたい」
官民連携の図書館に賛否はあるが、そもそも“図書館は公共施設”であり、民間企業は利益を追求するものだ。企業より住民のニーズの優先が、求められるのではないか。
※週刊朝日 2015年10月9日号より抜粋