条件を遂行しない場合には、10%の利率で返済しなくてはならない。日本学生支援機構の奨学金のような低金利では、「奨学金を返済して地域医療に従事しない」卒業生が出る可能性が高くなるため、奨学金を借りることを条件にして、その金利を高くしているところが少なくない。
37年ぶりの医学部新設として注目を集める東北医科薬科大(仙台市)は、全国から受験できる一般入試の定員100人のうち55人を地域枠としている。修学資金額が3千万円のA方式も、修学資金1500万円と宮城県を除く東北各県の修学資金で学ぶB方式も、卒業後の一定期間、決められた県で働くことで、修学資金の返済が免除になる。
「東北地方の医師の養成と定着を目的に新設されるため、修学資金制度が充実しています。全国の優秀な生徒さんが入学し、東北の地域医療に従事してほしいですね」(同大医学部設置事務室の菅原健士室長)
同大では、1年次から東北各地で滞在型学習を行うほか、被災地医療体験実習なども予定している。
「各県に本学と連携する地域医療ネットワーク病院を置きます。卒前卒後研修はその病院を中心に、大病院、中規模、小規模の病院をローテーションで回ることになります。その間、専門医の資格をとるためのフォローもしていきたいと考えています」(菅原室長)
では、実際に出願する場合、何に気をつければいいのか。まずは、出願資格をチェック。出身地限定か全国から出願可能か、現役のみか浪人も大丈夫なのかなどを確認したい。推薦入試は現役のイメージが強いかもしれないが、1浪まで受験できるところが多く、新潟大は3浪まで受験できる。
奨学金と連動しているかどうかも大きなチェックポイントだ。連動している場合には、金額を確認して資金計画を立てよう。返済免除の条件については、勤務地だけの指定か、診療領域も指定があるか、期間には研修期間が含まれるか、などについても確認は必須だ。
「大学全入時代」といわれるなか、医学部は浪人する受験生が多い。「地域枠」は、医師への近道として“要注目”だ。
※週刊朝日 2015年9月18日号