大学入試が変わってきています。かつてのいわゆる「筆記試験」だけでなく、「総合型選抜」を採用する大学が増えてきています。なぜこのような変化が起きているのでしょうか。大学側の意図とは? 教育ジャーナリスト・中曽根陽子さんの著書『<中学受験>親子で勝ちとる最高の合格』(青春出版社)から紹介します。

MENU 大学入試、どう変化している? 「総合型選抜」では、どんなことをしているの? 中高一貫校のカリキュラムにも影響

大学入試、どう変化している?

  大学入試も変わっています。

 すでに半数以上の大学が推薦·総合型選抜を採用しているということをご存じでしょうか。推薦·総合型選抜というのは、これまでAO入試、指定校推薦と呼ばれていたものです。筆記試験中心の一般選抜(一般入試)の時期が1~3月なのに対して、9~12月に実施·合否が出ることが多く、通称「年内入試」と呼ばれています。

 文科省の調査によると、2023年度入試の全大学の選抜区分中、半数が年内入試になっています。私大に限れば6割に上り、国公立大学も今後、総合型選抜の割合を増やすとしています。大学が総合型選抜を増やす理由は、

1:年内入試で早期に学生を確保できるため

2:自学との相性を見極める選抜方法がとれるので、中退リスクが低く、伸びしろの大きい学生を受け入れられるため

3:募集人員について、学校推薦型選抜は「入学定員の5割を超えない」と決まっているのに対し、総合型選抜には制約がないため

などがあげられています。

 また、2040年には大学受験者人口も現在の63万5千人から50万人に減るといわれており、大学の4割が潰れる時代がやってきます。大学も生き残りをかけ、総合型選抜などの年内入試を今後ますます増やしていくでしょう。

「総合型選抜」では、どんなことをしているの?

 では、具体的には総合型選抜とは、どんな入試なのでしょうか?

 基本は、志望理由書·調査書などの書類選考と面接、小論文によって選抜が行われますが、大学によって、学力試験が課されることもあるし、面接で志望分野に関連する知識が問われることもあります。

 また、プレゼンテーションやグループディスカッション、フィールドワークなどが課される大学もあります。お気づきかもしれませんが、中学の新タイプ入試は総合型選抜を先取りしたようなものです。

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中曽根陽子
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