さらに70年談話が出される日が、14日となったことにも迷走ぶりがうかがえるという。戦後50年の村山談話も、同60年の小泉談話も、発表は15日だ。今回、1日前倒しされたことについて「15日は全国戦没者追悼式で天皇陛下の『おことば』が出される。そこに配慮したのは明らか」(全国紙記者)という。前出の後藤氏もこう続ける。
「2カ月前から、今年の『おことば』はかなり天皇陛下の平和への思いがこもったものになるだろう、と官邸周辺でささやかれていた。国家の象徴である天皇陛下の思いと、首相の立場に違いが出ることは外交上、好ましくない。だから別の日としたのでしょう」
国会での安保法制の強行採決など、一貫して“強気”で押してきた安倍首相。とはいえ、天皇陛下の存在は、やはり大きいようだ。官邸のざわつきについて、宮内庁関係者は感想を語った。
「国会で戦争につながりかねない法案が審議されても、皇室の日常にはまったく影響がない。今年の天皇陛下の『おことば』も平和を尊ぶ内容となるのは間違いなく、しかし、政治に踏み込むような内容にはなり得ません。安倍首相が勝手に気にしているだけでしょう」
(本誌・古田真梨子)
※週刊朝日 2015年8月21日号より抜粋