秩父鉄道の「勝手踏切」
秩父鉄道の「勝手踏切」
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 2021年9月、日本共産党の論客で“撮り鉄”として知られる山添拓参院議員が、鉄道営業法や軽犯罪法の違反容疑で書類送検された。20年11月にプライベートな鉄道撮影を目的に訪れた埼玉県長瀞町で、秩父鉄道を横切る“勝手踏切”を横断したためだ。

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 勝手踏切とは、鉄道事業者が設置した踏切ではなく、地域住民らが慣例的に通行している非正規の踏切だ。国土交通省が21年に調査したところ、全国に約1万7千カ所あることがわかった。鉄道ライターが解説する。

「踏切以外の場所で線路を渡るのは鉄道営業法で禁止されています。さらに運行に支障が生じた場合は、刑法の往来危険罪に問われる場合もあります。ところが、現実的には地域住民が自由に利用している“生活歩道”なのが現状です。神奈川県の江ノ島電鉄では、津波や土砂崩れといった災害時の避難路として機能している箇所もあるため、杓子定規に否定できないのも見逃せません」

 国交省の調査によると、最多は愛媛県の1031カ所、次いで長野県の872カ所、新潟県の825カ所の順だ。山添議員が渡ったという秩父鉄道は「管内で19カ所」としている。

 山添議員は自身のツイッターで「軽率な行為だったと反省しています」「地域住民によって道がつけられ、水路に渡し板がかけられていた箇所を、列車が接近していない時間帯に、通行可能な道であるという認識のもとに、約1秒程度で渡りました」「今後、二度とこのようなことのないようにいたします」と3連投で謝罪している。

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