経営者の報酬が多いか少ないか、客観的に見極めるのは非常に難しい。日本を代表するグローバル企業の東芝は不適切会計問題で決算発表が大幅に遅れたが、毎年、報酬額はそれほど大きくない。昨年は佐々木則夫前社長が335位に、13年には西田厚聰前会長が175位だった。ガバナンスが利いていなければ、会社の業績は落ちる。報酬が低くても、“安かろう悪かろう”では困るのだ。

 役員報酬を開示した企業の中には赤字決算や無配当のところもある。社内外の反応はどうだったのか。

 赤字決算なのに1億円プレーヤーが2人いる出光興産にたずねると、

「14年度役員報酬額は、13年度業績に基づき水準を決定しています。株主の方からのご質問もございませんでした」(広報CSR室)

 赤字で無配なのに報酬が1億円以上ある役員が1人いるゼンショーHDは、

「業績不振の経営責任を明確にするため、14年12月より15年5月までの6カ月間、(会長兼社長の)月額報酬を30%減額しています。株主様には説明申し上げました」(広報室)

 それぞれ理屈は立つという主張だ。

 ソニーは単独では黒字決算に回復したが、連結では2期連続の赤字だ。こちらも無配なのに1億円プレーヤーが2人いる。広報担当者は次のように話す。

「12年度より代表執行役の基本報酬は10%の減額措置を継続しています。賞与も返上しており、基本報酬と賞与を合わせた年収ベースでは、平井(一夫社長)は50%の減額となっています」

 しかし、株主総会で、会社提案議案として執行役や従業員へのストックオプションが説明されると、株主からは「株主は無配なのに、役員にストックオプションは納得いかない」という不満が出た。

週刊朝日 2015年7月31日号より抜粋

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