元宝塚トップスターとして活躍し、現在も女優として多くの作品に出ている真矢ミキさんが、作家・林真理子さんに意外な宝塚時代を振り返った。
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林:宝塚の人って、ドア・ツー・ドアの人が多いですよね。土は踏んでないみたいな(笑)。
真矢:とはいえ宝塚の方、電車に乗りますよ。母体は阪急電鉄ですから(笑)。個人差があるんでしょうけど、私はけっこうドロ臭く生きてます。そういうのが好きなんです。
林:でも、宝塚のあの大階段を羽根つけて下りてきたら、人間、変わりそう。
真矢:野鳥化するってこと?(笑)
林:この世は私のもの、という気になりません? 私、最後のあの大階段、大好き。
真矢:いいですよね。私もやめてから宝塚の本質的な醍醐味はラスト20分だと気づきました。
林:真矢さんは英才教育を受けずに宝塚に入ったんでしょう?
真矢:そうですね。受験の半年ぐらい前に、声楽とバレエに通ったぐらいでした。
林:宝塚音楽学校での成績が、39人中37番の「ビリギャル」だったって、何かでおっしゃってましたけど。
真矢:そうなんです。私、中学のときまではけっこう成績がよかったんですよ。
林:真矢さん、お勉強できそう。
真矢:「このぐらいやればこのぐらいの成果が出る」というのがあったので、宝塚に入ったときその倍ぐらいやったんです。でも芸能は成績が上がらなかった。そのとき初めて自分に失望しました。「才能がないってこういうこと?」って。だから2年目ぐらいでやめようと思ったんです。「こりゃダメだ。次行こう」って。