さいたま市に住む高校生の桜井あゆみさん(仮名・17歳)が異変を感じたのは3年前だった。
中学3年生のころから、おならが頻繁に出るようになり、高校に入るとその回数はエスカレート。授業中もおならを我慢するようになり、休み時間になると何度もトイレに駆け込むようになった。
ある日、自分の周りに座っている友達が鼻をふさぐようなしぐさをしていた。
「もしかしたら、自分のおならが原因じゃないのか」。そう考えた瞬間、突然恐怖がこみ上げ、そこからは周囲の目を気にして暮らすようになった。
高校2年生になると、症状は悪化していき、教室などの静かな場所で長時間座るのさえ苦痛に感じるようになった。生活にも支障をきたし始めたことからインターネットで調べ、おならの治療で有名な「心と体のクリニック」を訪れた。
同クリニック院長の大林正博医師は、おならを取り巻く状況についてこう解説する。
「いわゆる『おなら』に悩む人は若い人からお年寄りまで幅広くいますが、当クリニックに来られる患者さんの多くは桜井さんのような高校生や大学生などの若い人が中心です。特に学生の場合は普段から教室や電車などの密室にいることが多いため、深刻な問題になります。症状も、おならの回数や音、におい、おなかのぐるぐる音(腹鳴)など、さまざまです」
そもそも、おならは口から飲み込んだ空気や食物からの分解ガスなどが原因といわれている。大半は腸で吸収されるが、その一部がおならとして体外に排出される。おならを我慢してしまうと行き場を失ったガスが血液を介して全身に行きわたってしまう。