プロゴルファーの丸山茂樹氏は、全米オープンのコースについて、正直な感想を語る。

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 今シーズンの4大メジャー第2戦「全米オープン選手権」(6月18~21日、米ワシントン州チェンバーズベイGC)。テレビ解説のお仕事で、じっくり見させてもらいました。

 ご存じの通り、優勝したのは21歳のジョーダン・スピース(米)です。4月のマスターズに続くメジャー制覇ですよ。同一年にマスターズと全米オープンを制したのは2002年のタイガー・ウッズ以来で6人目(7例目)なんですって。いやー、メンタルの強さが抜きんでてますね。

 スピースを含む4人が通算4アンダーで首位に並んで、最終日を迎えました。スピースは最終組の一つ前で回って、16番で2位に3打差をつけるんですね。決まったかなと思いきや……。

 スピースは続く17番で3パットのダブルボギー!

 なんとか気を取り直して18番でバーディーを奪い、通算5アンダーの暫定首位でホールアウト。最終組で4アンダーのダスティン・ジョンソン(米)のプレーを見つめます。

 最終日の18番はパー5。パー4に設定された日もあったんですけど、選手から批判の声が続出。それに応じる形で、USGA(全米ゴルフ協会)が最終日はパー5にしたんです。

 最悪でもバーディーでプレーオフに持ち込みたいジョンソンは、セカンドをピンまで4メートル弱につけます。イーグルパットを決めれば逆転優勝。しかし、外れた。しかも1メートルのオーバー。嫌な距離ですよ。ジョンソンがガチガチになったとしても不思議じゃありません。返しのパットも外し、スピースの優勝が決まったのでした。

 
 ジョンソンがセカンドをあの位置につけたとき、「危ないなあー」と思ったんです。前の組のブランデン・グレース(南ア)が18番のピン下からパットしたのが、1メートルぐらいオーバーして、そこからスーッと戻ってきた。ピンの1メートル近辺に傾斜があるなんて異常ですけど、そういうグリーンだったわけです。「3パットもあるな」と思ってたら、案の定で。ジョンソンにとっては悔やんでも悔やみきれない。アメリカ人がよく使うフレーズですけど、「自分に失望した」ってところじゃないですか?

 チェンバーズベイは07年にできたばかりで、プロの試合をやったことのないコースでした。グリーンに1ヤード足りないと、コロコロと50ヤードも球が戻ってきてしまう。「ちょっとなあ?」ってのが正直な感想ですね。解説者としてもコメントが難しいですよ。「悪くないショットですよ」と言ったのが、50ヤードも戻ってくるんだから。

 それとグリーンが硬すぎました。最長7695ヤードの距離をとるなら、グリーンはもう少し止まるようにした方が全米オープンらしいし、カッコよかった。

 松山英樹(23)は通算3オーバーで18位でした。最終日の前半だけで3パット、4パットが1度ずつ。それでは勝てない。上位陣の中で3パット、4パットのホールが圧倒的に多い。今後の課題です。

 同一年に4大メジャーをすべて制した選手はいません。ここまで来たら、スピースにはあと二つも勝ってほしいなあ。絶対的な人がいない時代だから、「メジャーにスピースあり」ぐらいの感じで、ガツッといってほしいですよね。

 僕は心から期待してます。

週刊朝日  2015年7月10日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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