優勝候補と予想されていた広島とオリックスだが、開幕から調子が上がらない。西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、両チームの監督は決断し変化を生むことが必要だという。

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 プロ野球が開幕して半月がたった。優勝候補のチームがセもパも下位に低迷している。セなら広島、パならオリックスが予想すらしないスタートとなった。

 開幕直後というものは、どのチームも戦い方が安定しない。特に主力にベテランが多くなればなるほど、長いシーズンを逆算して動く選手も多いから、スロースタートになりがちだ。シーズン序盤に監督が考えることは自分のチームをいかに軌道に乗せてあげるか。戦力の厚いチームなら、選手を気持ち良く戦わせ、落ち着いた戦いを展開することに腐心するし、実績のない若いチームであれば、少々の失敗よりも特長を前面に押し出して積極的に戦わせる。その中で自信を植え付けたいと考える。チーム事情によって、レールの敷き方は異なる。全チームと対戦が一回りするまでは探り合いの部分もある。

 だから、ジタバタする必要はないのだが、広島とオリックスがこれだけつまずくとは両軍の監督にとって誤算だろう。戦力充実で優勝を意識したシーズン。勝率5割程度で推移していれば問題ないのだが、大きく出遅れると、勝率5割に戻すことに相当なエネルギーを要する。難しいのは実績を持った選手がレギュラーに多いということ。スタメン落ちや2軍再調整の決断は簡単にはできないし「我慢」を強いられる。

 
 若いチームであれば、コンディション優先で毎試合のように選手を代えて使えるが、メンバーが固定されると起用の選択肢は狭まるよな。身動きがとれなくなると、ズルズルと深みにはまってしまう可能性だってある。逆に動きすぎれば、チームに動揺を与える。表裏一体で、判断に正解はない。それでも、広島の緒方孝市監督、オリックスの森脇浩司監督は現場を預かる長として、責任を持って断を下さなければならない。

 例えば、采配の中でも、変化はできる。エンドランを多用するのも、一つの手だ。打てないからバント、といった采配ではなく、走者が一塁にいる時に、初球からエンドランをかける。不振の打者に初球から積極的に振る意識を持たせるためだ。選手に刺激を与える作業は、いくらでもある。試合前のフリー打撃の初球に意識を集中させることも一つの手だ。意識の持ち方で変化を生むことが可能となる。

 パ・リーグは、4月は週に5試合ほどという変則的な日程になっている。先発投手は5人で足りる。先発陣の薄いチームにとっては有利だよな。西武はエースの岸孝之が故障離脱中で、菊池雄星の復帰も4月下旬だ。先発の台所事情が苦しいチームには助かる。しかも、3連戦ではなく、2連戦であれば、勝ち試合の投手を惜しみなく投入できるし、層の薄さをカバーできる。ゴールデンウィークまで、そういった日程が続くことも、微妙に星取りに影響を与えるだろうな。

 開幕で絶好の滑り出しをみせた中日、日本ハムは、このまま勝利の中で選手が自信をつけていってほしいところ。どこかで必ず苦しい時期はくるが、その時に、監督は思い切った策を打ちやすいはずだ。夏場までしっかり戦っていければ、勢いが力に変わってくる。

 シーズン序盤の不安定な戦いが、中盤以降にどう影響するか。現場で戦う者には申し訳ないが、少々想定外のことが起きたほうが、ペナントレースは面白い。

週刊朝日  2015年4月24日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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