千葉県がんセンター(千葉市中央区)で保険適用外の難しい腹腔(ふくくう)鏡手術で患者の死亡が相次いだ問題で、県の第三者検証委員会は先月30日、報告書案を公表した。犠牲者は11人にのぼり、うち8人が同センターのエースであるA医師の執刀だった。さらに新たな“疑惑”も浮上している。
◇
「ここに深くおわびを申し上げます」
報告書案が公表された同日、矢島鉄也・県病院局長は記者会見で深々と頭を下げた。本誌が昨年5月2日号でこの問題をスクープしてから約1年。ようやく調査結果が明らかになったが、その内容には疑問点も多い。
委員会の資料によると、同センターで膵臓(すいぞう)がんの開腹手術(膵頭十二指腸切除)をした場合の死亡率(術後30日以内)は0.41%。ところが、同じ手術が腹腔鏡だと6.2%と、約15倍に跳ね上がっていた。日本大学板橋病院消化器外科教授の高山忠利医師は言う。
「なぜ膵臓では難しい腹腔鏡手術にこだわったのか、理解できません。安全な手術を、わざわざ費用の高い腹腔鏡の器械を使って難しくしているだけ。患者さんのための医療とは思えません」