先日の選挙を含めて大きな動きのあった今年の政治。戯作者で作家の松崎菊也さん、漫画家のやくみつるさん、コラムニストのペリー荻野さんが、政界のニュースを振り返った。
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ぺリー:政治では、集団的自衛権の行使容認が閣議決定されたことも大きいニュースでしたね。
松崎:集団的自衛権の閣議決定の後、菅義偉官房長官が内閣の支持率が下がったことに対して、「国民が安全保障に対して臆病だから」と発言しましたね。政治家が国民のせいにしては、おしまいですよ。来年で戦後70年ですが、私の気持ちを都々逸で表すと、「臆病もので 70年も 死なずに済んだ なに悪い」。
ぺリー:8月の広島、長崎の「原爆の日」の式典で安倍首相のあいさつが、昨年のコピペだと話題になりましたね。
松崎:政治ネタで都々逸を作るのに凝ってるので、ここでも一つ。「平和国家は 歴代同じ あいさつ文も コピペかい」。朴訥でいいから自分の言葉で話せばいいのに。私は安倍政権に国民がものを言えなくなる風潮が怖いですね。北朝鮮政府の拉致問題再調査の報告の先送りもそう。「後回しなど 分かってたのに 埒(らち・拉致)のあかぬを 怒るふり」。特定秘密保護法の施行もそうです。説明不足な点が多すぎる。「説明責任 反故(保護)にしましょか 守る秘密が多すぎて」。
やく:私はユーキャン新語・流行語大賞の選考委員を務めていますので、授賞式のとき必ず聞かれるのが、来年は何が流行(はや)るかという質問です。むちゃぶりで、来年の予想がつくわけがない。しかし、私が来年流行りそうだと思う、いや、流行らせようと画策しているのが、「アベハラ」という言葉です。この総選挙で安倍政権が大勝して、いろいろな分野でむちゃな政策が始まる。それを、総括する言葉を定義付けして、「アベハラスメント」、アベハラと呼びたい。
松崎:安倍首相の経済政策はアベノミクスと呼ばれ、騒がれた。恩恵を享受したのは一部の人間だけです。
やく:ニュースで、デイトレードで巨万の富を得る人間を見ると頭にきますね。
松崎:結局は安倍さんだけが喜ぶ「安倍のみクスッ」です。
※週刊朝日 2014年12月26日号より抜粋