書き終えたところで切り取る 巻紙から発想した便箋レターセットやちいさい蛇腹便箋の図柄は、創業208年の同店に伝わる榛原聚玉文庫所蔵の江戸期・明治期の見本帳から復刻。ちなみにレターセットの跳びうさぎは、「跳びはねて、前に進む」という縁起の良い図柄。群れなす千鳥は、良き仲間との友情の象徴。便りを送る相手によって、図柄を選ぶのも楽しみの一つ(撮影/外山亮一・スタジオ・テンフォー)
書き終えたところで切り取る 巻紙から発想した便箋
レターセットやちいさい蛇腹便箋の図柄は、創業208年の同店に伝わる榛原聚玉文庫所蔵の江戸期・明治期の見本帳から復刻。ちなみにレターセットの跳びうさぎは、「跳びはねて、前に進む」という縁起の良い図柄。群れなす千鳥は、良き仲間との友情の象徴。便りを送る相手によって、図柄を選ぶのも楽しみの一つ(撮影/外山亮一・スタジオ・テンフォー)
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ギフトに添えても粋(ちいさい蛇腹便箋) (撮影/外山亮一・スタジオ・テンフォー)
ギフトに添えても粋(ちいさい蛇腹便箋) (撮影/外山亮一・スタジオ・テンフォー)
縁起の良い図柄が豊富(蛇腹便箋レターセット) (撮影/外山亮一・スタジオ・テンフォー)
縁起の良い図柄が豊富(蛇腹便箋レターセット) (撮影/外山亮一・スタジオ・テンフォー)

 週刊朝日で好評連載中の「美意識ある生活」。生活品評論家の東海左由留(とうかい・さゆる)さんが厳選したひと品を紹介している。東海さんは日本とヨーロッパで「生活をより豊かに」をテーマに様々なアイテムやサービス、ライフスタイルを取材。自腹で購入し、時間をかけて使用感を検証している。

【美意識ある生活 他の逸品はこちら】

 今回は、日本橋榛原(はいばら)の蛇腹便箋を紹介する。

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■短くても、長くても、融通無碍

 面倒くさい性格だなぁ……と自分でも思うのだが、手紙を書いて便箋の余白が半端だと気持ちが悪い。そこで筆をおけばいいのに、余白を埋めようと書き損じて最初から書き直し。自業自得とはいえ、間抜けな話だ。

 そんなわけで、私がもっぱら使っているのは日本橋榛原の蛇腹便箋。封筒に美しく収まる幅にミシン目が入っていて、書き終わったところでピリピリと切って使う。ミシン目までの一幅あたり6行。一筆箋でも、長めの手紙でもと、便箋の枚数が融通無碍(ゆうずうむげ)。「もう少し書かないと、収まり悪いよなぁ」というプレッシャーがなくなり、心軽く手紙が書ける。

 日本橋榛原の創業は文化3(1806)年。和紙舗で、明治時代、初めて同店が和紙を輸出し、洋紙を輸入したという老舗。レターセットの跳びうさぎや千鳥、ちいさい蛇腹便箋の色鮮やかな図柄に、歴史と粋が感じられる。便りを書く人も、もらう人も喜ばしい便箋だ。

<今日の逸品>
日本橋榛原の蛇腹便箋
蛇腹便箋 便箋のみ 黄罫(図柄なしの無地) 5束450枚綴り 500円
蛇腹便箋 跳びうさぎレターセット、蛇腹便箋 千鳥レターセット 各500円
※レターセットは、紙製カバーに便箋90枚綴り、封筒10枚入り
ちいさい蛇腹便箋 貝、ちいさい蛇腹便箋 牡丹 各500円(すべて税別)
※ちいさい蛇腹便箋は、紙製外箱に便箋60枚綴り、封筒5枚入り
問い合わせ先:日本橋榛原

週刊朝日 2014年9月12日号