林:高校の入試は?
古市:推薦です。中学は公立ですし。
林:留学したときは勉強したでしょう?
古市:留学先のノルウェーはすごくゆったりとした国で、授業も週3コマぐらいだし、ダラダラ暮らしてました。努力したことがないから、ちょっといけ好かないと思われるのかもしれないですね。
林:デビューしてからはすごく努力してるでしょう。本は書かなきゃいけないし、締め切りはあるし。
古市:本は年に1冊か2冊しか出しませんし、林さんとは仕事量がぜんぜん違いますよ。林さんのバイタリティーはすごいですよね。歴史小説も書かれてますが、かなり調べなきゃいけないんじゃないですか。
林:そうです。勉強、嫌いだからイヤなんです。でも仕方ないですよね。そこは田舎出身の人間の律義さで。私は努力する世代だから、いまの人たちを見てるとほんとに歯がゆいというか。
古市:努力することがあたりまえなんですね。林さんから見て、今の子は昔と比べて野心がないと思いますか。
林:ぜんぜんないと思いますよ。何考えてるかわからないし。古市さんは自著『だから日本はズレている』で「『やさしい革命』は、『今、ここ』にいる『僕たち』を充実させることから始まる」って、私の『野心のすすめ』とはまったく反対のことを言ってますね。闘うんじゃなくて降りてしまえば、いまが充実して楽しいんだなと、腑に落ちましたよ。でも若い人たちは、自分たちが50歳、60歳になることを想像していないですよね。
古市:将来は不安ですよね。いまの若い子の幸せって、親に依存して成立してる部分がすごく大きいんです。親と同居したり親からお金もらったり。でもその親も、あと30年ぐらいしたら死んじゃうか、要介護状態になっちゃうわけですよね。介護保険も今ほど充実した仕組みのままではいられないでしょうし。いま40歳ぐらいの人たちが高齢者になるときは、けっこう悲惨な状態になっていると思います。
※週刊朝日 2014年8月29日号より抜粋