父の日を控えた5月末、本誌が子どもがいる40歳以上の男性342人に実施したウェブアンケートによると、「父の日にプレゼントをもらうか」との問いに42%が「毎年」「ほぼ毎年」と回答する一方、「一度ももらったことがない」は4人に1人にのぼった。

「父の日にプレゼントがもらえるかどうか気になるか」という質問には「まったく気にならない」「ほとんど気にならない」を合わせて8割に達する。多くの父親は非常に控えめな“期待感”のなかで、この日に備えていることがうかがえる。

 かといって、ないがしろにされたくないのも本音のようだ。プレゼントの希望価格は「こだわらない」が52%、「3千円未満」が27%と、子どもたちの懐具合を気遣う一方、自由記述では「プレゼントはいいから気には留めていて」(40代)、「感謝の気持ちを持って」(50代)と何らかの意思表示を望んでいた。

 また「父の日は、母の日に比べて大事にされていないと思うか」という問いには半数が同意しており、ちょっとさびしげな父親の心理が垣間見えた。

 神奈川県の会社員タジマさん(仮名・57歳)も、そんな一人だ。

「今年の母の日、近所の生花店でカーネーションを買い求める行列を見て思ったんですよ。『いいなぁ……』って」

 タジマさんはここ10年間は転勤続きで、これで3回目の単身赴任生活。関西地方の自宅に暮らす2人の娘たちが、母の日に妻(52)へ何を贈ったかは不明だが、ふだんから宝塚歌劇を見たりディズニーランドに行ったりと、楽しくやっている。「父の日」を祝われたのは、はるか昔。毎日手にする「靴べら」は、長女(24)が幼稚園時代に贈ってくれたもので、「パパの似顔絵」が描かれ、もう20年近く使い続けている。だが、最近ほとんど話さない長女はそれを知らないだろう。

 次女(21)からは時々「〇〇って番組、録画しといて」とメールが届く。好きな男性アイドルグループが出演し、関東地方でしか放送されていない。月に1、2度帰る際にDVDで渡すというささやかな交流だが、そんなことだけで嬉しい。

 今年の父の日を前に、タジマさんは父(87)のためにシャツを用意した。自分が家庭を持ち、親のありがたみが身に染みるようになってから、プレゼントを贈るのが慣例になった。

「若い人にとっては大変な世の中で、娘たちも自分のことで精いっぱいでしょうから、父の日なんて期待しません。元気で働いていればそれで十分。でも、もしもプレゼントが届いたら? そりゃ涙が出るくらい嬉しいですよ」

※ 週刊朝日 2014年6月13日号より抜粋