今春、法政大学の総長に就任した田中優子氏を本誌の長友佐波子編集長がインタビューした。
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長友:総長になられて率直なところいかがですか? 東京六大学初の女性の総長ということで話題になりましたが、やっかみとかありませんでした?
田中:そういうのは聞こえてきませんね。心の中で何を思っているかはわかりませんけども(笑)。
長友:大学のいい宣伝にはなりますよね。
田中:ええ、私が選出されたということは、もっと世の中に広く法政の魅力を発信する期待も含まれていると思うんです。だから来た取材は断らずに全部お受けしました。だいぶ広告料を稼いだと思っています。
長友:さすがです(笑)。これから目指すテーマとか、打ち出すビジョンみたいなものはどうお考えですか?
田中:私はずっと法政大学の内部にいますから、法政の積み上げてきた長所がよくわかります。でも外から見たらあまり知られてないという現実がある。つまり、法政と聞いて明確なイメージが浮かばないんです。これは非常に残念で大きな問題です。だから、まずは法政の実態を積極的に伝えたいと思っています。
長友:具体的に言うと?
田中:法政はかなりグローバリゼーションが進んでいて、留学生として送り出す人数は全国4位なんですね。
長友:留学を奨励するような制度があるんですか?
田中:ええ、長期の派遣留学制度や、短期の国際ボランティア、学部独自の留学制度まで、多彩な国際教育プログラムがあります。短くてもいいから外に行く、いわゆるお勉強ではなくて、体験を伴った学習ができる仕組みがあることはぜひお伝えしたい点です。その体験こそが基礎になって、自分の進むべき道を決める学生も多いですから。また国際日本学インスティテュートという大学院や交換留学生受入れプログラム(ESOP)があって、そこでたくさんの留学生も受け入れています。歴史的にも古くて、戦前からたくさんの中国人留学生が来ているんですが、そのなかには近代中国をつくった辛亥革命のメンバーもいます。
長友:そうなんですか。
田中:周恩来も来ていたという話も聞きます。
長友:海外からの留学生が日本文化を学ぶのなら、法政大学がベストだと。
田中:そのはずなんですが、PR下手というか、知られてないんですね(笑)。
長友:なるほど。
田中:あと、女子アナになる卒業生が、慶応、早稲田に続いて上智と並んで3位というデータもあります。
長友:え! そんなに多いとは意外ですね。
※週刊朝日 2014年5月23日号より抜粋