
国公立大学の後期入試の結果が発表された。後期入試とは「平成」になって始まった制度だが、近年は京大が実施をやめ、東大も全廃を決めるなど、見直しの動きが出ている。
後期入試を2007年から廃止した京大は、当時の広報資料でかなり大胆な指摘を行っている。要約すると、
(1)後期入試は往々にして基礎学力の保証がなされない
(2)京大は同一学部の前後期併願が多数で、いわゆる「敗者復活」となっている
(3)2回入試を受けなければならない受験生の負担
という内容だ。
加えて京大のような「同一大学での敗者復活」ではなく、前期で不合格となる場合に備えて「1ランク下」の大学を後期試験で出願するケースもある。
今年、中部地方の国立大学を卒業する4年生の男子学生は後期合格者だ。
「家庭の事情などで浪人も私大も許されない受験でした。だから第1志望の国立大学に前期で不合格になると、1ランク下げた大学を受験したんです。試験は面接のみで、合格できて感謝しています」
一方、東大では少し様相が違う。前期より後期は定員が少なく、倍率が高いのは他の国公立大と同じだ。しかし東大の受験科目は文系も理系も共通して数学、英語、論述で、かなりの難問がそろっている。
このためか、「東大では後期合格者のほうが尊敬される」と話すのは、法学部から大学院に進んだ男子学生。
「僕は前期で合格しましたが、周囲の誰もが後期合格者を『すごいやつ』だと思っていますね。前期で不合格になっても東大をくじけず目指し続けたわけですから、不屈の精神を感じます」
法学部に通う4年の女子学生も同じ意見だ。
「私も前期合格者ですが、後期合格者には『前期で不合格だったのに、あきらめず最後まで東大を目指すなんてすごい』と思います」
その東大でも後期入試は廃止される。代わりに導入される推薦入試の出願資格や選抜方法が1月に公表されたが、ハードルは相当に高い。例えば経済学部の推薦要件は「数学オリンピックなどの科学オリンピックでの顕著な成績」や「外国語に関する語学力の試験において高得点」などが列挙され、文字どおりの“スーパー高校生”だ。
東大は後期入試から推薦入試に代える目的について、
「入学試験の得点だけを意識した、視野の狭い受験勉強のみに意を注ぐ人より(略)深い洞察力を真剣に獲得しようとする人を東京大学は歓迎します」
と説明している。
※週刊朝日 2014年4月4日号