多くの進学校が合格を目指す、東京大学。この時期、各高校の合格者数は気になるところだが、さらに気になるのは「現役」での合格率。今年は驚きの「現役合格率」を出した高校があった。

 48.1%――。一瞬、ぎょっとするほどの高い東大「現役率」をたたき出したのは、筑波大附駒場(東京)だ。今年前期の合格者数は、浪人を含めると99人。開成(同)149人、灘(兵庫)100人に次いで3位だが、卒業生162人の半数近い79人が東大に合格した。

 だが、同校にとっては「想定内」の数字。進路指導主事・須田学教諭は、「例年より少し多いかな、というくらい。毎年よく頑張ってくれています」。

 同校から東大を卒業後、各界で活躍する20~30代の若い卒業生を招く懇談会を定期的に開いている。

「東大での学生生活はもちろん、社会人になって筑駒の授業がどう生きてくるのか、給料はどのくらいか。ざっくばらんに語ってもらうことが、生徒の刺激になっている」(須田教諭)

 さらに筑波大の研究室を各自の興味に応じて選んで訪問し、より深く学ぶ姿勢を育てるといった取り組みが実っているという。

 2位には、合格者数も2位だった灘が33.2%でランクイン。こちらも「想定内」で、進路指導部長の浜口隆之教諭はさらりと言う。

「現役率は例年並みです」

 今年は東大にとどまらず、同校の現役としては初めて米マサチューセッツ工科大(MIT)に合格者が出るなど「西の雄」は相変わらず健在だ。

 毎年、世界の高校生らが知識を競う「国際物理五輪」「国際数学五輪」などに積極的に参加してメダルを獲得するなど、国内ではなく世界のトップレベルを目指そうという気概が、進路にもあらわれているようだ。

 灘から東大に現役で合格した経験を持つ、精神科医で受験アドバイザーの和田秀樹さん(53)は、「現役合格が当たり前の環境の中で、当時は浪人することが怖かった。だが、足を引っ張り合ったりするような雰囲気はなく、仲間とともに励まし合う雰囲気があった。そこは世間の皆さんがイメージする灘高のイメージとは少し違うかもしれませんね」。

週刊朝日  2014年4月4日号