プロゴルファーの丸山茂樹選手は、本誌で連載する「マルちゃんのぎりぎりフェアウエー」の中で、同じくプロゴルファーの松山英樹選手をこう絶賛する。
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米PGAツアーのノーザントラスト・オープンが2月16日まで、カリフォルニア州のリビエラカントリークラブで開かれました。僕の自宅から車で15分のゴルフ場なんですよ。
松山英樹は23位でした。最終日に少しだけ現地で観戦しましたけど、いまひとつ自分のゴルフができてない感じでした。その中でもこの順位にいられることに、自信を持った方がいい。天気はよかったけど、決して易しくないコンディションでしたし。その中で4日間、あの位置にいられたのは立派ですよ。
僕は長らくリビエラで練習してきて、どこにどんな木が生えてるかまで知ってるんですけど、相性が悪いコースなんです。ハマったのは2004年のニッサン・オープン(当時)でトップに1打差の2位に入った、あの週だけ。
リビエラはトーナメントセッティングになると、グリーンが豹変するんです。あまりにも別の顔を見せるもんだから、妙なプレッシャーを感じて、イライラしちゃって。しかも僕がプレーした試合は、ほとんどが雨。この時期で体感温度が10度ぐらいで、常に雨。嫌なリビエラしか覚えてないですね。
「なんでこの時期に?」って、ずっと思ってました。基本的にカリフォルニアの2月は雨期なんですよ。4月以降にやってくれれば完璧なのに、と。この時期はフロリダでやればいいのに、って。
まあ、僕の愚痴はそんなところにしておきまして、ノーザントラスト・オープンの試合前には、自宅のバーベキューパーティーに「チーム松山」のみんなを呼んで、楽しみました。
そのときは英樹にメディアやファンへの対応についての話をしました。僕自身が喜怒哀楽の激しいタイプで、メディアの方々とイザコザを起こしたこともありましたし、そういった僕の失敗談も話しました。
タイガー・ウッズはマイケル・ジョーダンを見習ってるだとか、松井秀喜は調子が悪いときもしっかりインタビューにこたえてきただとか、目指すべき人の話もしましたね。
あとは「こういう家は興味あんの?」なんてね。「いまなら少し安くしといてあげるよ。英樹だったらすぐに買えるようになるよ」って。
最終日の18番ホールでチップインバーディーを決めて25位以内というあたりは、まあ、「持って」ますよね。米ツアーのメディアガイドには、「トップ25」に入った回数が記載されます。そこに一つでも数字を積み上げていくのが大切だと思うんです。僕もそこを目指して頑張って、ちょっと調子がいいときは、「トップ10狙うか!」と。25位以内に入ってると、世界ランキングもなかなか落ちないですしね。
英樹はこれでプロ転向以来、ノーザントラスト・オープンまで米ツアー12試合連続予選通過です。しかもすべて25位以内。素晴らしすぎますよね。
来季のシード権獲得はもう余裕だから、無理することもないんですよ。うまくスケジュールを組んだら?とアドバイスしました。これまではペースをつくってやってきたけど、ここからは自分のペースでやっていけばいい。英樹はそういう地位を勝ち得たんです。
※週刊朝日 2014年3月7日号