激戦が繰り広げられた東京都知事選挙(2月9日投開票)。その真の主役は候補者ではなく、小泉純一郎元首相(72)だった。だが、企業家の堀江貴文氏は今後の小泉氏の勢いについてこう予想する。

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 政界を潔く引退して素晴らしいと思っていたが、そんな潔い小泉氏を再び政界に戻してしまうほど脱原発って魅力的なのだろうか。

 首相だった頃は原発のコストが安いと騙されていたそうだが、実際のところ、今すぐ原発をやめてしまったらとんでもないことになるのは間違いない。

 電力会社は沖縄電力を除いて、全て債務超過かそれに近い状態になって上場廃止になる。株価暴落、安定株として保有していた生保や年金などの運用資金が大きな被害を受けて日本経済崩壊につながる可能性もある。また、原発関連企業やそこに勤める人たちも職を失ってしまうだろう。

 また、廃炉なんていう後ろ向きな技術開発に取り組んだとして、技術者が高いモチベーションを持てるかどうか疑問だ。

 さらに、原発をやめたところで放射性廃棄物は残ってしまう。すでに多くの原発では、使用済み核燃料を保管するプールが満杯になりつつある。高レベル放射性廃棄物は多いと言っても大した量ではない。日本で埋める所がないなら、どっか別の国に頼めばいい。無責任だという人もいるが、対価を払って契約して、人家のない所に埋めることの、どこが無責任だというのだ。

 結局、多くの人は「自分の家の近くに埋めてほしくない」と言っているのだ。それこそ無責任ではないか。私は東京の真下に埋めたっていいと思う(もちろんコスト的にはあり得ないけど)。日本が脱原発を実現させたところで、隣国の韓国や中国、北朝鮮が原発をやめるわけがない。そう考えると原発は改良しながら動かしていくしかないのだ。事故は必ずどこかで起きる。だから、事故が起きても周りに被害が及ばないような仕組みを考えるしかないのだ。なぜ、そんなこともわからなくなるくらい周りが見えなくなるのか私には理解できない。

 なぜか細川護煕氏なんかを担いで、自ら演説して「脱原発」って言っているが、現実的に考えて細川氏の当選は難しい。そもそも脱原発路線は宇都宮健児氏などと同じだ。そもそも小泉氏が細川氏の「脱成長を目指す」という世迷い言にまで賛成してるとは到底、思えない。それでも細川氏を応援してるのだから、ため息しか出ない。小泉氏の周囲の人間に話を聞くと、「脱原発にはまったみたいなんだよね……」と、ちょっと呆れ気味なのだ。まあ、小泉氏もフェードアウトしていくだろう。

週刊朝日  2014年2月21日号