文筆家の北原みのり氏は、セックスグッズショップのオーナーが「国にロリコン規制をしてほしい」と話すのを聞いたという。その背景にあるものとは…。
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2020年東京オリンピックを前に、セックス産業界は、軽い鬱状態である。路面店を持っている会社は、どんな規制をされるのか、つぶされるのではないか、東京都が風営法を厳しくするのではないか、などハラハラしている。
そんな話をしている時、あるセックスグッズショップオーナーが、思いがけないことを言い出した。
「ボクは東京オリンピックを機に、ロリコンを規制してほしいと思ってる」と。
彼曰く、黙っていてもロリコンビデオやロリコンエロ本やロリコンのイラストがついているオナニーホールが飛ぶように売れるのが、今の日本の現状だ。彼自身は「ロリコンに関心ない、むしろ気持ち悪い」と思っているのだけれど、商売として始めたところ、あまりにも売れるので、やめられないのだという。
「自分で売っておいて何だけれど、この影響がどこに出るのか、責任を感じる部分もある」
だったら今すぐやめればいい、と言うと、「それは難しい。社員もいるし、ライバル会社を利することになるだけだし」と口ごもるのであった。
「だから! 国に規制してもらいたいんだよ!」ということなので、東京都の皆さん、業界的にはOKらしいです、ロリコンコンテンツ規制。
ひと月ほど前、3歳の女の子を起用したイメージビデオがネットで議論を巻き起こした。警視庁宛てに「児童ポルノ」通報を送る運動も起き、結果的に発売中止になったのだが、ビデオのパッケージがネットで流れた時は、強いショックを受けた。
「ピュアハート あいり3才」というタイトルで、3歳児が水着を着て嗤(わら)っている。「エロ」ではなくイメージビデオとして売ってはいるが、目的は明らか。そのDVDメーカーでは他にも、小学生の女の子が水着を着てしなをつくって、とろーんとした顔をした作品がずらりと並んでいた。
もはや病化している日本の男のロリコン化。規制が最善の策かどうかはともかく、売り手自身が「やばい」と思う領域に入ってきているほど、危険な状況なのだと思う。
※週刊朝日 2014年1月31日号