猛暑の夏が終わり、秋本番を迎えたと思ったら、くしゃみと鼻水が止まらない……そんな症状が出たら秋の花粉症かもしれない。原因となるブタクサやヨモギなどは花粉の飛散距離が短いが「秋の花粉症は、重症化することもあります」と日本医科大学の大久保公裕教授(耳鼻咽喉科)は注意を促す。
「花粉症の要因となる雑草は地面に繁殖しており、踏まれることが多い。踏まれて花粉が粉砕され、細かくなる。細かくなった花粉は肺まで入り込みやすくなり、ぜんそくの症状を引き起こすこともあります」(大久保教授)
秋ならではの理由も。
「何といっても行楽シーズン。まだ寒い春の花粉症の時期に比べ、外出する機会が増えます。山などに行けば、花粉症の原因となる植物も多いので、発症する可能性が高くなります。春とは違い、秋の花粉症は、週末に悪化させるケースが多いのです」(同)
日頃の何げない習慣が、花粉症を発症するリスクを高めている可能性もある。
「朝の散歩やランニングなどは注意が必要です。ブタクサなどは早朝から昼にかけて飛散のピークを迎えるものが多いのです。晴れた日の午前中は、土手や公園でのランニングは避けるべきでしょう」(気象予報士の三ケ尻知子さん)
気候もよくなり、確かにランニングする人の姿を多く見かけるようになったが、「花粉症ランナー」にとってつらい時期になっているという。
エスエス製薬が9月、秋の花粉症の症状があり、過に1回以上ランニングをしている20~50代の男女400人を対象にしたアンケート調査を発表した。花粉症の症状がつらくなるタイミングについて、全体の65.2%にあたる257人が「ランニング中」と回答。ランニングと花粉症悪化の関係性が見えてきた。
ランニング中に呼吸が苦しくなったり、目がかゆくなって涙目になると、走路や通行人などへの注意を怠るようになり、ケガをしやすい状態につながる危険性も指摘されている。
※週刊朝日 2013年11月8日号