縁日で食べるのとは段違いの新境地のグルメ系かき氷に注目が集まっている。例えば東京・お茶の水にある「山の上ホテル コーヒーパーラーヒルトップ」は開業時からの名物「水出し・ダッチコーヒー」を使った「特製かき氷 コーヒー風味」(1050円)を提供中だ。コーヒーは、氷がとけた冷水で12時間かけて抽出し、一晩寝かせて作ることで、雑味がなく豆本来の味が出るという。コーヒー風味のかき氷は3年前に考案した。氷の中にあるラムレーズンジェラートと苦めのコーヒー、コンデンスミルクがよく合うという。
言ってしまえば“ただの水”。かき氷は、完成された瞬間から消え始めるはかない甘味だ。しかし、一瞬の涼を求めて、数時間待ちの行列ができるかき氷店が今、続出している。1千円台の“高級かき氷”も。なぜ今かき氷?
「きっかけは2011年に出た蒼井優ちゃんの『今日もかき氷』という本。ちょうど震災後の節電意識も重なり、注目され始めた」
そう話すのは、「東京かき氷コレクション実行委員会」の小池隆介さん。3、4年前にかき氷にハマり、200店ほど食べ歩くうちに、かき氷のイベントまで主催するようになった。今年は『かきごおりすと』というガイドブックまで自ら製作した。
近年の特徴は、手の込んだ自家製シロップとトッピングだ。沢の水を自然に凍らせた天然氷も人気が高い。ただ、天然氷だからおいしいわけではない、と小池さんは言う。
「氷がよくても削り方がダメだと、すべて台無しになります。氷削機の刃、角度、受け方で口当たりが変わるんです。シロップと削り方のバランスがおいしさのポイント」
たかが氷、されど氷。この夏は新しいかき氷に挑戦しでみてはいかが?
※週刊朝日 2013年8月16・23日号