夢のような日々は長くは続かない。3年前のある日、和雄さんが突然倒れ、救急車で運ばれた。そのまま入院となったが原因はわからず、診療科や病院を転々とした。病棟を変わるたびに「どういう関係ですか?」と聞かれ、「お友達です」と答えるしかなかった。5カ月後、和雄さんは息を引き取った。
亡くなる数日前、和雄さんは美雪さん宛てに手紙を書いていた。苦労をかけたまま死なせてしまった妻への悔恨、それを癒やしてくれた美雪さんへの感謝……和雄さんもまた、引き裂かれるような思いを抱え、救いを求めたのだった。
美雪さんは今も義母との二人暮らしを続ける。和雄さんとの数年間で学んだのは、どんなに年を重ねても人生は豊かにできるということ。恋人からのラブレターは色あせることなく、美雪さんのもとにある。
※週刊朝日 2013年7月26日号