今回の衆院選で台風の目と恐れられた日本維新の会は54議席を獲得したが、党内はギクシャクしている。そもそも、旧維新と旧太陽は合流した直後から、企業・団体献金の禁止や脱原発など政策面での齟齬(そご)が目立っていた。
亀裂が決定的になったのは、候補者の選挙区調整と比例名簿の作成を巡って、旧太陽と旧維新の幹部が大もめにもめたことだ。
「太陽が関東などで候補者を強引に押し込み、みんなの党との選挙区調整がメチャクチャになるわ、こっちの候補者は国替えを余儀なくされるわで、いい加減にしろとなったんです」(維新の大阪選対幹部)
しかも、できあがった比例名簿では、同じ新顔でも旧太陽候補の一部が上位で優遇されていた。旧維新候補の間には、険悪な空気が広がったという。
その後も、石原慎太郎氏がべらんめえ調で脱原発など旧維新の政策を否定すると、「府民にドン引きされて、支持率がどんどん落ちた」(党所属議員)。
維新大阪本部に出入りする議員らの間ではいつの間にか、こんな合言葉まで生まれたという。「自民党はこりごり。太陽はもっとこりごりや」。
大阪府市統合本部の特別顧問を務める古賀茂明氏はこう言う。「橋下徹さんは数を取るために石原さんと組み、選挙が終われば橋下グループで党を仕切るつもりでした。しかし、自民党時代から官僚らと通じ、政治の裏を知り尽くす旧太陽の狡猾(こうかつ)さに翻弄(ほんろう)されてしまった。旧太陽ともめ続けると人気が落ちることはわかっているので、いずれ袂(たもと)を分かつ決断を迫られるのではないでしょうか」。
※週刊朝日 2012年12月28日号