人気番組「11PM」の司会で知られ、関西文化のダンディズムと粋の象徴的存在であった直木賞作家の藤本義一さんが10月30日、肺炎のため79歳で亡くなった。2年前に脳梗塞で倒れ、昨春には肺に末期の中皮腫を患っていたことが発覚した。次女でイラストレーターのフジモト芽子(まいこ)さん(48)は、「一人で放っておけば生きていけない人でした」と家族にだけ見せていた晩年の様子を語った。
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脳梗塞のリハビリを兼ねて、コーヒーを淹れる練習をしようと言ったら、不本意ながら「うん」。「お湯を沸かして」と言ったら、困った様子でコンロの前に立っている。「ここ押せばガスが出ます」と言ったら、今度はずっとガスのスイッチを押し続けている。「そのままにしてたら死にます」と言ったら「えぇ!?」。それほど家事音痴でした。
最後にしゃべれなくなってからも、社会への関心はありましたね。病院で「石原(慎太郎)さん、都知事やめはって新党立ち上げはるんやって」と言ったら、すごく驚いた表情をして。さぞ言いたいことがあったんやろうなと思います。
※週刊朝日 2012年11月16日号
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