頭の体操をしたり、生き方を変えることのほか、毎日の食事内容や食べ方も、ボケ予防には重要。何を、どんなふうに食べれば、さえわたった脳を維持できるのか。アンチエイジングの権威、順天堂大学大学院教授の白澤卓二(しらさわ・たくじ)先生に、エビデンスの高い(効果があることを示す証拠が多い)食事術を聞いた。
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認知症患者の半分以上を占めるアルツハイマー病は、食材や食べ方でかなり予防できます。朝食を抜いている人はボケやすいし寝たきりにもなりやすい。秋田県に10年間通って調査した結果、朝に栄養素を摂ることこそが健康長寿に重要だとわかったのです。
朝食の内容は和洋問いません。朝食を食べるとインスリン(膵臓で作られるホルモン)の出方がよく、朝食を抜くとインスリンの分泌がうまくいかず、昼にいきなり炭水化物が体内に入ってきたときに過剰反応してしまいます。インスリンの効きが悪い状態だと中年肥満や糖尿病を引き起こしやすくなり、その状態が続くと高齢期まで持ちません。
糖尿病を発症すると男性で平均10歳、女性では平均13歳は寿命が短くなることがわかっています。聖路加国際病院の日野原重明先生のように、100歳以上でカクシャクとしている人にインスリンの効きの悪い人はまずいません。
規則的に三食摂れば血糖値は安定します。そもそも寝ている間も基礎代謝により体力を消耗するので、脳は朝、栄養不足になっています。朝食はそれを補い、脳の萎縮も防ぐ効果があるわけです。食欲がないときには、おかずを先に食べてご飯を残してもいいので、朝食は必ず口にしましょう。
※週刊朝日 2012年11月2日号