一般社会でもそうですが、「根性」という言葉は好まれません。人のできない記録を作った人、勝負で勝った人が結果として使う言葉です。昔も今も「根性」とはいわれていないが、それは結果の言葉ではないでしょうか。
たしかに昔の千本ノックも、途中から体が動かなくなる。それでも限界を超えると、体が動き始めるといわれていた練習方法のひとつでした。プロで活躍するには、こういった「限界」の壁を超えないといけないと、経験のある選手は言っていました。
一方で、近年はウェートトレーニングがもてはやされて、「筋肉至上主義」です。たしかに投手も打者も筋肉はつきました。しかし、150キロを超える速い球を投げても、コントロールがなければプロでは勝てません。しかも、筋肉が不必要に多い選手が成績がいいとは限らない。情報が多い時代なので、選手がすぐに“最新”といわれている理論を取り入れるのは悪いことではないが、しかし、プロの世界は結果の数字で評価されます。
(聞き手/AERA dot.編集部・西岡千史)