女性スキャンダルが表面化した政治家は枚挙にいとまがないが、「自殺」にまで追い込
まれたケースとなると……。本当に「それ」が原因か。首をひねる人も少なくない。

「73でそんな理由で死ぬはずはない」「謀略だ」

 松下忠洋金融担当相(73)の突然の自殺。原因として、「週刊新潮」(9月20日号)に掲載された女性スキャンダルとの関係が報じられると、ツイッターにはこんなつぶやきが相次いだ。

 問題の記事のタイトルは「73歳『松下忠洋』金融担当大臣痴情果てなき電話と閨房」。松下氏の地元・鹿児島県在住の元飲食店経営の女性(70)が実名、写真付きで、21年に及ぶ愛人生活を告白している。「ベッドを胸キュンで思い出しています」といった交際当初のラブレターや70代になってからの熱烈なメールが暴露され、記事の中では松下氏も不倫交際を認めている。

 実は松下氏は9年前に別の愛人に週刊誌で交際を暴露されたことがある。それでも、その後復活を遂げ、大臣の座に就いた。

 確かに今回の記事の内容は結構赤裸々だが、それにしても、という印象も否めない。

 国立精神・神経センター精神保健研究所長も務めた吉川武彦・清泉女学院大学学長は、73歳という年齢が関係しているとし、次のように指摘する。

「70代ともなると、ちょっとしたことで抑うつ状態になりやすい。松下氏も、10年前なら切り抜けたのでしょうが、高齢になると絶望的な気持ちになりかねません」

 ちなみに、これは、政治家に限ったことではないという。

 最近、高齢者の自由恋愛が肯定的に取り上げられているが、トラブルに発展すれば、一般の人でも、突然、抑うつ状態に陥ることがあるそうだ。

「そこにきて、松下氏の場合は、大臣という社会的立場がありました。その責任を考え、一瞬にして追い詰められてしまったのかもしれません」(吉川さん)

AERA 2012年9月24日号